給食委託先選びのポイント

~委託先との良好な “食のパートナーシップ” を築くために~

かつては直接運営(直営)が主だった病院や高齢者施設の給食業務は、法律上の規制緩和の影響もあり、今やその7割近くが給食会社への外部委託の形で運営されています*1。
「食のアウトソーシング」が広がるなか、給食会社の数は今や全国に200社以上*2。
数ある給食会社のなかから自施設により適した委託先を選ぶのは、思いのほか難しいものです。

直接運営から委託への切り替えを考えるとき、あるいは委託先の見直し・変更を検討するとき、どういったポイントに着目して選定を進めれば、納得いく委託先選びができるのでしょうか。
検討開始から契約に至るまで、そのポイントを順を追ってみていきましょう。

 

*1:医療関連サービス振興会「平成24年度医療関連サービス実態調査(病院調査編)」による
*2:日本メディカル給食協会に加盟している企業数(2015年3月現在)

【STEP1】まずは「委託する目的」を整理しましょう

委託先の選定を始める前に、まずは給食を外部委託にする目的を整理しましょう。

委託を検討するからには、理由があるはずです。

たとえば…

給食にかかるコストを削減したい・適正化したい

コア業務(医療・介護業務)に集中したい

安定的に厨房スタッフの人員を確保したい(人事管理の労力を軽減したい)

安全・衛生管理のレベルを上げたい

厨房スタッフの教育や接遇のレベルを一定にしたい

食事の質や味を向上させて患者・利用者の満足度を上げたい

施設の“売り”になるような食事を提供したい

食事のバリエーション(イベント食など)をより充実させたい

緊急時・災害時等にも対応できる給食体制を整えたい    など

目的は、もちろん1つとは限りません。
いくつかあるようなら、それらにおおまかに優先順位をつけておきましょう。
優先順位をつけておくことで、委託先選びの軸がぶれにくくなります。

また、すでに委託給食を利用していて、委託先の見直しや変更を検討している場合には、現在の委託先のサービスで不満な点、反対に評価している点の両方をあらかじめ洗い出しておくと、委託先の選定がよりスムーズになります。

委託先の検討~サービス開始までにかかる期間

ところで、委託先の検討開始から実際の運営開始までには、どのくらいの準備期間が必要でしょうか?

導入する給食サービス形態にもよりますが、例えば自施設の厨房を用いて全面的に給食業務を委託する場合には、7~8ヶ月前から検討を開始することをおすすめします。

特に、病院や高齢者施設の給食には、より高いレベルの衛生管理や治療食・介護食など個別性の高い特別食に対応する体制づくりなど、給食会社側も一層の配慮を必要とすることから、無理のないスケジュールで慎重に検討していきたいところです。

委託の検討開始からサービス開始までの例                ※直営から委託に新規で切り替える場合

新規施設の場合は、設計段階から給食会社を交えて導線や厨房機器導入などを検討するケースもあります。

【STEP2】自施設に適した委託形態を検討しましょう

一口に「委託給食」といっても、そのサービス形態は様々です。施設内厨房での調理を委託するのか、施設外で調理したものを配送してもらうのか、また1日3食の給食業務を全面的に委託するのか、それとも部分的に委託するのか…など、自施設の厨房設備状況や方針、予算、委託の目的に合った委託形態を検討しましょう。

使用する調理施設による分類

施設内での調理

自施設の厨房施設を利用する形態

施設外での調理

給食会社の調理施設(セントラルキッチン)を利用する形態

 

委託内容による分類

全面委託

献立作成、食材の仕入れ、調理、食器洗浄、衛生管理など一連の給食業務をすべて委託する

部分委託

自施設の管理栄養士や厨房スタッフと作業を分担し、食材の仕入れ、下処理や調理の一部、食器洗浄などの業務を部分的に委託する

 

施設外調理(セントラルキッチン)という選択肢にも注目!

新しい委託給食の形として医療・介護福祉の分野でも浸透し始めている「施設外調理」は、委託先のセントラルキッチンと呼ばれる集中調理施設で調理された食事を、病院や施設に配送して患者さんや利用者さんに提供するスタイルの給食です。

施設外調理で認められている調理方法には、新調理法(クックチル、クックフリーズ、真空調理)のほか、従来のクックサーブ(食材の加熱調理後、冷凍や冷蔵をせずにすぐに利用者に提供する調理形式)がありますが、クックサーブは、調理施設が病院等に近接していることが条件となるため、委託の形ではこれまであまり普及していませんでした。
近年では、加熱調理直後に急速冷却して冷蔵・冷凍する、衛生的で安全性の高い新しい調理技術(クックチル、クックフリーズなど)が向上し、これに伴い徐々に施設外調理を取り入れる病院や高齢者施設が増加しています。

病院や高齢者施設では、複数種類の特別食等への対応が必要になることが多いため、給食のすべてを施設外調理とすることは難しい側面もありますが、一般食だけを施設外調理として委託するなど業務を分散させることで、食材費や人件費の削減につながることがあります。
加えて、施設での調理負担が軽減されるため、水道光熱費や事業所ゴミが減り、結果として給食コストの削減に寄与することもあるようです。

また、施設外調理には、自施設の厨房施設の修繕・改築時や、災害などの不測の事態の際などにも食事を途切らせることなく提供しやすいといったメリットもあります。さらに、新規施設を立ち上げる際には、設計段階から厨房を最低限の規模にすることで建設コストを抑えることなども可能になります。
こうした施設外調理のメリットを理解し、上手に取り入れることで、委託給食の選択肢はさらに広がりそうです。


【STEP3】給食会社各社の資料を請求しましょう

委託の目的や自施設に適した委託の形態が整理できたら、これらの条件に概ね合致する給食会社の候補を選び、資料を請求しましょう。
このとき、次のような点にもぜひ注意を向けてみてください。当たり前のことばかりのようですが、実際に給食業務を委託し、給食会社と良好なパートナーシップを築いている病院や高齢者施設の声を集めて見えてきた、大切なポイントです。

価格にとらわれすぎない

委託によるコストの削減は、誰しもが最も期待する点の1つです。
ところが、価格を重視しすぎると、往々にして満足のいく結果にたどり着くことができません。
安さには必ず理由があります。
単に「価格が安いこと」を評価するのではなく、各社が提供するサービス内容や質が、価格に見合うものかどうか(適正な価格かどうか)、患者さん・利用者さんに安全に食事を提供することができる価格なのかどうかを評価する視点がとても大切です。

事業規模や実績に左右されすぎない

たとえば食材の仕入れにおいては、一定の量を一括で仕入れたり、プライベートブランドをもっていたりすることがコストダウンに直結することから、事業規模のある程度大きな給食会社のほうがスケールメリットを得られやすい面があります。
一方で、規模は小さいものの地元密着の給食会社であれば、地産地消の特徴ある献立を展開しつつコスト削減を実現していたりなど、独自の工夫をしている会社が多くあります。
資料請求の時点では、ぜひ選択肢の幅を少し広めに捉えて、候補となりそうな会社の資料を請求してみましょう。

食べる人の笑顔を忘れない

食事は入院患者さんや利用者さんにとって日々の楽しみであり、体をつくる源です。
直接運営であっても委託運営であっても、食べる方が元気に、そして笑顔になってくれるような食事を提供したいという思いは常に大切にしたいものです。
どんな給食会社となら、その思いを共有できそうでしょうか?
患者さんや利用者さんの目線に立った給食を提供してくれそうでしょうか?
迷ったら、ぜひこの点に立ち返ってみてください。

給食委託先企業の資料を請求する

【STEP4】資料が届いたら

各社の資料が届いたら、早速具体的に検討を始めましょう。【STEP3】に示したポイントも考慮しながら資料を確認し、3~4社程度に絞れたら、各社に直接連絡してみましょう。
いよいよ委託先を具体化していく段階です。各社の担当者と直接面談し、委託する目的や自施設の概要、予算や要望を伝えて、具体的な運営計画の立案をお願いしましょう。

委託候補各社に同じ質問をしてみよう!

委託候補を数社に絞り込むことができたら、以下のような点も各社に質問してみましょう。

同じ質問をすることで、会社としての方針や安全・衛生管理に対する姿勢の違いなどが明確になり、最終的な選定の参考になるはずです。

 

会社概要・体制について

・企業規模・理念

・コーポレート・ガバナンスの状況

・委託受注の実績

・加盟している団体

・リスクマネジメントへの取り組み(食中毒や業務停止など、不測の事態への対応状況)

・緊急時・災害時の対策への取り組み

 

スタッフについて

・派遣されるスタッフの教育体制はどのようなものか

・モチベーションの維持・管理はどのように行っているか

・調理技術向上のためのプログラムはあるか

・会社の方針と現場スタッフや担当者の考えにズレはないか

・利用者(患者・入居者)への接遇マナーについての教育はあるか

・スタッフに欠員が出たときにはどのように対応するのか

 

給食実務について

・食材の仕入れや流通のルートはどのように管理しているか

・特別食(治療食、介護食など)へのきめ細かい対応は可能か

・行事食、食のイベントなどに対しては、どの程度まで対応可能か

・現場の改善プログラムはあるか

 

衛生管理について

・衛生管理体制はどうなっているか(マニュアルを作成しているか)

・HACCPに準拠した衛生管理を徹底しているか

・従業員の衛生意識向上のための取り組みを行っているか

 

その他

・見学が可能な既存の受託施設はあるか(当該施設の話を聞くことができるか)

・実績、経験を踏まえた自社ならではの提案等はあるか

 

【STEP5】いざ契約へ

各社から運営計画や見積りの提案とともに、会社によっては試食会や、現在稼働している受託施設への見学会などが行われます。【STEP3】で紹介した点に加え、以下のポイントも参考にじっくり比較検討を重ねて、“食のパートナー”を選び出しましょう。

給食会社は「食のプロ集団」――パートナーとしての関係性が“よりよい食”の提供につながる

各給食会社は、すでに多数の病院や施設、企業などの給食を担ってきた、いわば「食のプロ集団」。施設側の要望を伝えることはもちろん大切ですが、ただ押し付ける一方ではなく、給食会社が培ってきた知恵やノウハウを積極的に借りることが、これまで抱えてきた問題のブレークスルーにつながったり、利用者に対するよりよいサービスにつながることがあります。
給食に関する悩みや問題に対して、共に考え、思いもよらない解決策や最適な解を出そうとする姿勢はあるか? 「下請け」としてではなく「パートナー」として尊重・信頼し合える関係を構築できそうか? そんな視点をもつこともとても大切です。

こんなところにも注目!①――会社の成り立ちからうかがえる社風

「給食会社」と一口に言っても、その成り立ちは各社それぞれ。
たとえば給食に特化して規模を拡大してきた会社では、「給食」として提供するのに適した調理方法や配膳方法など独自のノウハウをもち、他社よりも幅広い提案ができたり、他方、レストラン事業から派生して給食事業を開始した会社では、接客や接遇も業務の一環ととらえ、患者さんや利用者さんに積極的に挨拶ができたり、礼儀正しい態度で接するなどといった社風や社員教育が根付いていたりします。
自施設の特性に合った給食会社との出会いは、単なる“給食業務の代行”の枠を超えて、施設自体の付加価値につながっていく可能性も秘めているのです。

こんなところにも注目!②――「日々の食事以外」のサービスの充実度

たとえば節句やクリスマス、お正月、誕生日会など、季節や施設のイベントに合せて提供される食事(イベント食)は、患者さんや利用者さんの生活にメリハリを与えたり、季節感を感じてもらったりすることのできる貴重な機会です。こうした特別な食事への対応力や、 あるいはイベントそのものを演出してくれるサービス(ケーキバイキングや実演など)があるかなど、「日々の食事以外」の充実度もよく見きわめたい点です。
楽しい食事は喫食率の向上だけでなく、患者さん・利用者さん、またその家族の満足度の向上にまでも寄与することから、委託を機に、食を介したサービスの一層の充実を検討してみるのもよいでしょう。

特に病院や高齢者施設では、負担額や衛生管理上の問題、食事制限などに細かく的確に対応することが優先され、患者さんや利用者さんが望むような食事を提供することが難しい場合があります。しかし、種々の制約があるなかで、施設側と給食会社が互いに協力して知恵を出し合い工夫を重ねることができたとき、食べる人の心まで届く食事の提供につながります。給食に込められた一番大切な願い、それは、食べる人が健康に、笑顔に過ごせること――。その思いを共有し、共に歩むことのできる委託先を、じっくり選んでいきましょう。

 

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